Artists
- 上映後、トークあり。 ゲスト 森下くるみ
OPEN 19:30 / START 20:00
『雷魚』(1988年/8ミリ/カラー/120分)
出演:杉山正弘、小口容子、鈴木豊 他制作:シネマヴァリエテ
イメージフォーラムフェスティバル1990 審査員賞(ドミニク・ノゲーズ 作家・パリ第一大学教授 推薦)
【解説】平野8ミリ時代最後の作品。今で言うアイドルオタクの狂気と幻想を描いたドラマ。前作の「愛の街角~」とは違い、劇映画色が強度を増しているが、物語は予測不能な破綻に向かっていく。地方都市の殺伐とした異様な風景、密室で黙々と魚を飼う男と、突如、闖入してきた女性との確執、夜の映像、男の狂気にシンクロするように魚は巨大化していく。平成の宮崎事件の直前に描かれた問題作。
「これは、当時、藤原新也の「乳の海」などの影響もあり、なんかヤバい事になりそうな世相を描いてみたかったんです。もうこの頃から地方都市なんて壊れていて、僕の住んでいた浜松も、何だかいやーなでかい巨大団地とか建って、街中も人気もなく無意味に殺伐としていて、今に通じる地方都市の壊れた雰囲気はこの頃から始まったていたんです。こういう話が生まれた背景はそんなところにありました。そんな時代でも女性は元気なわけですが、そういう女性が闖入者として男の城に入ってきてしまう。そこで激しい摩擦が起こるわけです。そんな様子を描いています。本作はイメージフォーラムフェスティバル1999で審査員賞をいただきました。フランスのドミニク・ノゲーズさんに「俳優の素晴らしい演技、我々の予想するところに決して留まらない演出設計」という評価をいただき、また、この時、審査員をなさっていた細野晴臣さんに「雷魚は好きではないけど、全作品を見終えた後、初めて、この作品が他のどれよりも映画的話法を使ったものと知りました」という評価をいただき、とても嬉しかったです。また、同名の日本映画が本作の後に存在しますが、本作とは関係ありません。紛らわしいので一応記しておきます。」
また、今回の上映にあたっては、2019年にて平成の時代が終わります。ちょうど30年前、1989年に渋谷で昭和崩御の時にレイトショーにて連日上映していた事もあり、今回、約30年ぶりのオリジナルフィルムでの上映です。